2013年7月26日金曜日

「アンケートにご協力ください」の怪しげな広告バナーをクリックして回答してみた

なんかいろいろなサイトを見て回っていたらこんな怪しげなバナー広告が表示されていた。
「アンケートにご協力ください」とか、怪しすぎだろww。Japan Kantar Researchってなんだよ。

クリックしてみたらこれまたユーザビリティが最悪。
1問目が「失礼ですが、あなたの年齢をお応えください。__歳」って・・。失礼というか・・キモい。
そして入力コントロールが、なんていうの?あの右にある上下の矢印押すごとに数字が一つづつ
増えるスピンボックスとか、使いにくすぎるだろ。50歳の人は50回矢印押さなきゃならないんだよ、
この作りだと。しかも、画像クリックして拡大してもらえばわかると思うけど、-1が設定できる
というww年齢なのにww。とりあえず-1歳の男性を選択して次のページへ・・

「すべての質問にご回答頂き、誠にありがとうございました。」だって。
終わったよ!終了かよ!年齢と性別答えて終了かよ!


もうなんか、ここまでひどいアンケートを広告出稿するとか、逆に気になったので、ちょっと
調べてみるか。とりあえず、
・「Japan Kantar Research」というバナーに表示されていた組織名
・「MillwardBrown」というアンケートの上部に記載されていた名前
・「dynamiclogic.com」というアンケートに関する質問を受け付ける問い合わせ先ドメイン
の3つを調べればなにかわかりそう。


まずは「Japan Kantar Research」で調べてみる。主なサイトはこのへん。
daijob「Japan Kantar Research Inc. / 株式会社 ジャパン・カンター・リサーチ」
この求人サイトに乗っている情報によると、新宿のマインズタワーにオフィスがある、外資系の
マーケットリサーチ会社みたい。上記のアンケート設計からしてレベルが類推できるな。

会社のHPはこれ。
http://www.kantar.jp/careers/info.html
リサーチ会社なのはわかったので、採用情報の方を見てみたら、
リサーチマネージャーの「求められるスキル・資格等」の欄に、
・英語 ビジネスレベル
の項目が。そこじゃね~~~~~~~~~~! 英語よりまず日本語だろ!
「失礼ですが、あなたの年齢をお応えください。」
って、アンケートの設問としておかしいだろ!最初に書くのはまずアンケートの目的だろ。
「私どもはジャパン・カンター・リサーチという世界○ヶ国にネットワークを持つマーケットリサーチ
に関する専門会社でございます。この度はブランドに関する意識調査を広く行なっており、
ご協力をいただけると幸いでございます。設問は2問から最大20問になります。」
とか、そんな感じで始めてからの設問だろうが!あと「失礼ですが」はいらねーよ!

加えて、画面設計が終わってるよね。年齢の入力にスピンボックスだよ?マイナスの値が
設定できて、60歳なら60回矢印を押さなければならないスピンボックスとかww。
そこプルダウンかテキストにするところだから。

もう、なんというか、外資系(笑)の実例みたいな会社だな・・


続いて「MillwardBrown」を調べてみる。これかな?
http://www.millwardbrown.com/About/Default.aspx
サイトが英語。会社の紹介ももちろん英語。ちょっと訳してみますか。
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At Millward Brown, we’re passionate about helping clients grow great brands. We’re experts in advertising, marketing communications, media, digital and brand equity research, and we work with 90% of the world’s leading brands.

We know brands that are Meaningfully Different capture more volume share, command premiums and grow their value. Our key areas of focus are Brand Strategy, Creative Development, Channel Optimization and Brand Performance.

Our team includes some of the most talented market researchers, consultants, storytellers and neuroscience experts in the industry. With offices in 56 countries, we understand the importance of both a global and local focus – and we understand consumers.

Today, many brands are a company's most valuable asset. We can help you manage your brands to drive financial growth and wealth creation for your organization.
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Millward Brownで我々は、クライアントがブランドを育てることを懸命にサポートしています。
我々は、広告、マーケティング・コミュニケーション、メディア、デジタル、ブランド価値調査の
エキスパートであり、我々は世界のトップブランドの90%と関わっています。

意味のある違いを持ったブランドというものが、より多くの市場シェアを握り、付加価値を付け、
ブランド価値自身を育てるということを我々は知っています。我々のメイン事業にしている領域は
ブランド戦略、クリエイティブ(広告のデザインなどのこと)作成、広告出稿チャネルの選別、
ブランド運用です。

我々のチームには最も優れたマーケットリサーチャー、コンサルタント、シナリオライター、
広告業界における神経科学の専門家が何人もいます。56カ国に及ぶオフィスで、我々は
グローバルとローカル両方に焦点を当てることの重要性を理解しています。そして我々は
消費者を理解しています。

今日、多くのブランドは、会社における最も価値のある資産であります。あなたがブランドの
金銭的価値を向上させ、組織に対して富を作り出すことを、我々はお手伝いすることができます。
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かっけー!超かっけー!「ブランド価値調査のエキスパート」がいて、「ブランド価値を育てる」
ことを知っていて、「広告出稿チャネルの選別」をメイン事業の一つにしていて「消費者を理解」
している会社の作ったアンケートがこれ・・
もっと言うと、このアンケートのバナー、グーグルのアドセンスに出稿してるけど、それも方法と
して微妙だと思うよ。普通マクロミルとかネット調査の会社に依頼しないか?
マクロミル リサーチ料金表
信頼性のある統計結果を得るためのサンプル数は最低300くらいと言われているので、
とりあえず300サンプルで20問の料金で言うと、マクロミルは26万円。これは年齢や性別の
選定など、アンケートを取りたい層を絞り込むコストも含まれている(スクリーニングという)。
アドセンスで募った場合どうなるんだろうね?広告の1クリックあたりのコストが広告によって
違うのでなんとも言えないけど、サイト内のいい位置にあるバナー広告だから、クリックされた
ときの料金はおそらく高めのはず。1クリック100円で計算するとして、26万円なら2600クリック分
の予算ということになるけど、これで望んでいる属性の、20問(これは仮だけど、ネットアンケート
の本調査の設問数は20問くらいが多い。それ以上だと回答するユーザーが疲れてしまう)の
質問に答えてくれるユーザー300名を集められるのか?いやー、無理だと思うな。年齢を
-1歳とか答える私みたいな人いっぱいいると思うよ。

もうなんか、ブランドの価値を理解しているはずの「Millward Brown」に対するブランドイメージが
ガタ落ちなんだけど・・。クライアントがブランドを育てるのを手伝う前に自分たちのブランド価値
が向上するようにまともな調査をしてくれよ・・


で、最後に「dynamiclogic.com」というメールの問い合わせ先ドメイン。
http://www.dynamiclogic.com/home/about-us
さっきのMillwardBrownのデジタル調査部門っぽい。ネット広告の効果測定とかやっているところ。


もうなんか・・ここのやり方が独特すぎて、気になってかなり時間かけて調べてしまった。
まぁこんな外資系(笑)もあるということで。



ちょっと追記。久々にまた同じバナー広告を見かけたから今度はちゃんと答えてみたら
クライアントの正体がわかった。詳しくはこちらを参照。
「アンケートにご協力ください」の怪しげな広告バナーをクリックして回答してみたらP&Gの洗剤アンケートだった