2013年2月24日日曜日

通勤自転車の選び方

通学自転車の選び方に引き続き、通勤自転車の選び方に関しても記事を書いてみる。

通学自転車の選び方の記事の方では、主に1万円~2万円くらいの予算のママチャリ、
シティサイクルの中から自転車を選ぶポイントに関して記載をしたが、そちらの記事の
ギアに関する項目の最後に「何段ギアだろうがママチャリではスピードが出ない」という
ことを書いた。

今回の通勤自転車の選び方の記事では、ママチャリよりもスピードを出したい人向けに、
主に入門用クロスバイクに関して色々と記載をしようと思う。あくまでスピードが出したい人
向けなので、そうでない人は通学自転車と同じ観点で選べばよいと思う。


▼なぜママチャリではギアがいくらあろうがスピードがでないのか?ギア比という概念について

学生時代、そして社会人の最初の何年目かまでは、ママチャリ、いわゆる普通のシティサイクル
で通学、通勤をしていた。学生時代は内装3段ギアの自転車で、社会人の時は外装6段ギアの
自転車で通っていた。しかし6段ギアになっても、3段ギアのときと比べて特に早くなったという
実感は得られず、直線ロードでは他のいくつかの自転車に楽々抜かれていく状態だった。

そう、後で知ることになるのだが、このときに私の自転車を楽々抜いていった自転車は、
クロスバイクやロードレーサーといったタイプの自転車だったのだ。

これらの自転車の特徴は、
・軽い
・速い
の2点で、この2点に関する特徴がママチャリとは全く異なっているのだ。

自転車の速さを決める、一番重要な要素は「ギア比」という概念だ。これは一言で言うと、
ひと漕ぎで後輪が何回転するかというものだ。これはペダル側の歯数(ギザギザの数)と
後輪の歯数を数えれば簡単に計算ができる。歯と歯が1対1対応でチェーンが回るからだ。

例えば、入門用クロスバイクとしてメジャーなGiant(ジャイアント)のESCAPE R3を例に取ると、
ペダル側のギアの最大歯数:48T(Tというのは歯数を表すToothの略)
後輪側のギアの最小歯数:11T
なので、一番重いギアのときはひと漕ぎで48/11≒4.36回転するわけだ。

逆に、坂道がきつくてできるだけギアを軽くしたいと思ったときは、
ペダル側のギアの最小歯数:28T
後輪側のギアの最大歯数:32T
にすれば、ひと漕ぎで28/32≒0.87回転しかしないようにすることもできる。

ちなみに一般的なママチャリ、シティーサイクルの歯数の話をすると、下記のサイトによると
http://www.interq.or.jp/jupiter/ktbk37/image/grrto/gearrto.htm
ペダル側の歯数:33T
後輪側の歯数:14T
なので、 ひと漕ぎで33/14≒2.35回転することになる。

ギア付きのシティーサイクルに関しては、下記のサイトからギア比だけまとめると、
http://okwave.jp/qa/q5828825.html
内装3段:1.67回転~3.10回転
外装6段:1.57回転~3.14回転
ということで、それぞれの自転車のギア比(ひと漕ぎで何回転するか)をまとめると、



最大サイダイギア 最小サイショウギア
クロスバイク(ESCAPE R3) 4.36 0.87
一般的イッパンテキなママチャリ(ギアなし) 2.35 2.35
内装ナイソウ3ダンシティーサイクル 3.1 1.67
外装ガイソウ6ダンシティーサイクル 3.14 1.57

ということになる。上記で分かる通り、内装3段だろうが、外装6段だろうが、最大ギア比は
ほとんど変わらないので、最大ギアで勝負をした際、クロスバイクとはひと漕ぎで1.5倍近く、
進む距離に差が出てしまうことになる。
どうりでママチャリではクロスバイクに抜かれていくわけだ。

ということで、結論としてはママチャリでギアが何段だろうがスピードが出ない理由は、
最大ギア比が低くて、一番重いのでも3回転しかしないからで、通勤自転車として、
スピードが出る自転車にしたいなら、4回転から5回転以上するクロスバイクやロードバイク
などにするのがよい。


▼クロスバイクのスピードが出るもう一つの理由:軽さ
クロスバイク、ロードバイクなどのスポーツサイクルがママチャリ、シティーサイクルよりも
スピードが出る1番の理由は先に挙げたギア比の違いによるものなのだが、もう一つ、
重さが要素として挙げられる。

ママチャリの重さが一般的にどれくらいなのかって、種類が多すぎてなかなか難しいところ
なのだが、例として、自転車屋として広く展開をしている「サイクルベース あさひ」の
シティーサイクルの中から、1万円台の安いタイプの自転車をいくつかピックアップして見てみよう。


ベルエア(変速なしタイプ):17.2kg
レミュー(内装3段ギアタイプ):17.8kg
アフィッシュ(外装6段ギアタイプ):16.9kg
ということで、3つくらいギアのタイプが違う、それっぽい自転車をピックアップしてみたが、
まあ重さはギアよりもかごだったり、フレーム(自転車の骨組み)によって変わる要素のほうが
大きいのであくまで参考ということで。ただまあ、いずれも17kg前後なので、一般的な
ママチャリの重さは17kgプラスマイナス1~2kgくらいで考えておけばよいと思う。

一方クロスバイクはどうか?先ほどギア比の話で例に出したGiantの「ESCAPE R3」を例にして
見てみよう。
Giant ESCAPE R3:11.4kg
先の一般的なママチャリ、シティーサイクルと約3分の2の重さだ。これはかごやライトなど、
余計なものが一切ついていないというのも一因なのだが、もう一つ、自転車の重量の大部分
を占めるフレーム(骨組み)の素材が全然違うのが大きな要因だ。

一般的なママチャリが鉄をメイン素材として使っているのに対して、クロスバイクはメイン素材に
アルミを使っている。ちなみにロードバイクの30万円くらいする高いタイプになると、素材に
カーボン(炭素素材)を使うことでさらに軽くなる。このタイプだと8kg前後の重さになってくる。

ということで、自転車の重さが全然違うので、同じ力を加えたときの加速性能も全然変わって
くるのだ。 まぁでも軽くて速いというのもよし悪しで、クロスバイクを買っての通勤初日に
飛び出してきた自転車にぶつかったときはマジで1回転しましたよ。ヘルメットかぶってなかったら
やばかった・・。そのくらい軽いということで、これがママチャリだったらガシャッとぶつかって
そこで止まって終わっていたと思うし、軽くて速いというのはその分危険度が増すということは
心に留めておくとよいと思う。


▼主な入門用クロスバイクの紹介
一般的なママチャリ、シティーサイクルとクロスバイクの違いをスピードの観点から説明を
してきたので、そろそろ自転車の紹介をしようと思う。入門用のクロスバイクとしてメジャーな
ものは下記の3つ。大体4万から6万くらいの予算帯だ。

GIANT「ESCAPE R3」(ジャイアント エスケープR3)
重量:11.4kg
ギア数:24段(3x8段)
ギア比:0.87~4.36
定価:44,100円

入門編のクロスバイクとして一番メジャーな機種。GIANT(ジャイアント)というのは
台湾の自転車メーカーでスポーツタイプの自転車を安く提供していることで有名。
値段も44100円と5~6万は本来するはずのクロスバイクの中ではお手頃。
ただし、GIANTは自転車屋によるネット販売を禁止しているので、ネットで買うとしたら
オークションで手に入れるしかない。

ヤフーオークション「ESCAPE R3」で検索

ただ、個人的に初心者がオークションでクロスバイクを買うのはおすすめしない。
フレームの大きさ等、購入に当たって確認すべき項目がいくつかあるので、一度は
実店舗で店員と話してもろもろ確認するのがベターだと思う。
スポーツ自転車取扱店大手で有名なところはY's roadとか。


Specialized 「SIRRUS SPORT」(スペシャライズド シラス スポーツ) 
重量:11.8kg
ギア数:27段(3x9段)
ギア比:0.81~4.36
定価:59,000円

こちらも入門用のクロスバイクとして有名な機種。後輪のギアが9段になっているので、
ESCAPE R3よりも細かい調整ができる。が、ギア比は最高4.36なので最高速的な意味
では差はなし。こちらも楽天で売っていないところを見るに、ネット販売を禁止しているんじゃ
ないかな。ネットで手に入れるならオークションしかないが実店舗で見ることをおすすめする。

ヤフーオークション「スペシャライズド シラス スポーツ」で検索


ASAHI 「PRECISION sports」(あさひ プレシジョンスポーツ)
重量:12.7kg
ギア数:24段(3x8段)
ギア比:0.93~4.36
定価:36,800円

売り場面積の広い、大手自転車屋として広く展開している「サイクルベース あさひ」の
オリジナルブランドのクロスバイク。あさひはこの自転車をGIANTのESCAPE R3を
ベンチマーク(目標)にして作ったと言われている。クロスバイクの定義というのはあいまい
なのだが、この自転車以上の性能の物をクロスバイクと呼ぶというのがネット上での
よくある評価で、値段の割に性能が(最低限を満たすという意味で)高いと言われている。

ネット上で入門用クロスバイクを買うのであれば、ネットで店舗から買うことができる
これ一択になるのではないかと思う。安いというのは気軽に使いやすいという意味でも
メリットで、実は私は最初に12万くらいした結構いいクロスバイクを買ったのだが、
そうすると自転車を止めるのに気を使うことになる。盗まれると痛いので不安になるのだ。
なので、気軽にちょっとチェーンを付けて1~2時間くらい放置できるくらいのカジュアルな
自転車もあったほうがいいなと今では思う。

店舗でも売っているはずなので、基本店舗で買うことをおすすめするが、ネットで買っても
店舗でサポートが受けられるようなので、ネット店舗でいろいろ聞いてみるのもよいかも
しれない。付属品はライトと盗難防止用のチェーンは最低限別途購入する必要がありそう。
あと、身長によって最適なフレームの大きさが変わるので、それも確認をすること。